自分について(2)

学生の時、最終内定を貰っていた会社がある。自分もそこに入るつもりでいたが留年してしまい、お詫びの電話を入れることに。

電話口で驚いた印象はあったものの、先方の人事部長は「電話で話すのもなんだから、一度会社に来てください」と私に告げた。怒られることは覚悟していたし、留年のショックに加え、怒られる恐怖を抱えたままで居たくなかったので翌日訪問することにした。

怯えた表情(をしていたと思うが)で入室。面接の時より緊張する。しかし、期待していた(?)恐怖の瞬間は訪れなかった。人事部長は「残念だったね」と私を励まし、私の話を聞いてくれた。その表情が真摯で優しい印象であったことは覚えている。話しやすい雰囲気を作って頂いたので、一所懸命に話した。(というよりも詫びたの方が正しい)

一通り話を聞いたうえで、改めて私を励まし、彼は私に質問した。「大森さん、来年も就職活動するの?」

もちろんすると伝えると、その人事部長は私が驚くことを提案してきた。「もし大森さんが我々の会社に対する興味を失っていなかったら、また弊社を受けてください。あなたは我々が一度入社して頂きたいと判断した人なので、その場で内定を出しますから」と。怒られると思って来たら励まされ、こんな提案を受けて驚かない人は少ないだろう。申し訳ない気持ちでいっぱいだったので「本当に宜しいんですか?」と聞き返すと「もちろんです」と力強い回答が返ってきた。

結局、翌年私はこの会社に入社することになる。懸念点がなかったわけではない。留年が決定する前に事前の内定者研修があって、そこで多くの仲間ができた。その仲間とは同期となるはずだったが、結果として先輩となる。これをどう考えるかだ。普通に考えれば「格好悪い」し、正直避けたい事態の一つだろう。でも「身から出た錆」なのだから仕方ない。そう考えるようになるまで少し時間を要したけれど、先の人事部とのやり取りから3か月後に会社に電話をし、約束通り内定を戴いた。(つづく

 

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