その意見はあなたの意見ですか?

『コーチングの風景』という研修コンテンツを制作する過程で多くの本を読んでいます。求めるのは「本質的なこと」が書かれている本なのですが、それを求めるとどうも古い本に行きつきます。

「本を読む本」(M.J.アドラー/C.V.ドーレン 講談社学術文庫)もそんな本の一冊です。購入した文庫本の第1刷発行は1997年ですが、原本は1940年に発行されています。

本の読み方を教えてくれる本ですが、私が調べようとしていた事柄は「考える」ということの本質的な部分です。この本では、本から知識を吸収するだけでなく、考えながら読みなさいということが書かれています。そのために疑問を持ちながら読む。この疑問が大切で、このことは研修の中でも重要な役割を果たす予定です。

本に書かれていること(世の中の出来事と置き換えても良い)に疑問を持つ(問題を提起する)ことから始まり、そこから思考が開始され、思考の過程を通じて自分の結論を見出すというプロセスが「考える」ということです。

そんなのやってるよ、当たり前じゃない。そんな声が聞こえてきそうですが、本当にそうでしょうか。もちろん私にも当てはまります。

少し本の中から引用すると

ところで読書は、最近(注:書かれたのは1940年頃です)、昔ほど重視されないようだ。ラジオ、特にテレビは、かつて活字が果たしていた機能を肩代わりしようとしている。テレビのニュースは目に訴えるし、ラジオは仕事をしながらも聞けて便利である。しかし、これらの新しいマス・メディアは、私たちが物事を深く理解するという点で、はたして本当に役立っているのかといえば、大いに疑問である。(中略

こういうことになったのはなぜか。理由の一つは、現代のマス・メディアそのものが、自分の頭でものを考えなくてもよいような仕掛けにできていることである。現代の頭脳はその粋を集めて、情報や意見の知的パッケージを作るという大発明をなしとげた。この知的パッケージを、私たちは、テレビ、ラジオ、雑誌から受けとっている。そこには気のきいた言い回し、選びぬかれた統計、資料などがすべて整えられていて、私たちはいながらにして「自分の判断を下す」ことができる。だがこの知的パッケージがよくできすぎていて、自分の判断を下す手間まで省いてくれるので、読者や視聴者はまったく頭を使わなくてもしまう。カセットをプレーヤーにセットする要領で、知的パッケージを自分の頭にポンと投げこめば、あとは必要に応じてボタンを押して再生すればよい。考える必要はなくなったのである。

自分の意見だと思っているものは、実は誰かの意見だったり、自分が考えたと思っていても、それは誰かが資料を揃えてくれたお膳立てされた判断だったり、ちょっと自らを振り返ると怖くなる部分もあります。

まず大切なのは「疑問を持つ」力だろうと思い、研修コンテンツ作成に勤しむことにします。

『コーチングの風景』 originated with Coachingscape

 

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Photo by Rolf Brecher

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