抽象化の技術で書かれていないことを読み取る

昨晩はコーチングの勉強会に参加してきました。日々勉強です。

勉強会自体も盛り上がったのですが、そのあとの飲み会も大盛り上がり。

楽しいひと時を過ごせたこと、新たな出会いがあったことに感謝です。

 

こんばんは、コーチングスケイプの大森です。

 

今日は、その昨晩参加した勉強会で気づいたことを書きます。

まずワークの内容は、ビジネスの現場のケーススタディからコーチングの戦略を検討していくというものです。

5,6名ずつのグループワークでしたが、私と同席になったのは5名で、そのうち3名が経験のあるプロコーチでした。

ケーススタディを読んだことがある人は分かると思いますが、ある程度一般化された事象が書かれていて、そこから具体的な心情や取るべき行動などを読み込んでいくことになります。つまり書かれていないことをどれだけイメージできるかが一つのカギとなるわけですね。

ケーススタディに書かれている内容から書かれていない事柄を見つけ出すのに、抽象化のスキルが大切なのです。

例えば、他者への働きかけ。今回取り扱ったケースでは、クライアントと設定されている中間管理職が上司に対しても部下に対しても管理職としての働きかけをしていないことが問題でした。ケースには人物がしたことしか書かれていませんが、していないことが読み取れたのですね。

この「働きかけ」という言葉は同席したコーチの表現で、私はそれを「責任」と表現していました。結果としては同じことを言っているのですが、おそらく両者の頭の中のイメージや論拠となる考え方も少し違うのだろうなと思っています。

この辺の違いを感じ取れたところが面白かったのですが、いずれにしてもケースで描かれている事象をどのように抽象化して捉えたかが違いの原因です。

抽象化の技術は人間の思考の特徴です。そして、どのような観点で抽象グループを作り出すかが、その人の個性でもあるのです。だから最終的なイメージも大切ですが、その抽象化をしていくプロセスも興味深いのです。

研修コンテンツ『コーチングの風景』でも、この抽象化のスキルを扱っていますが、まだまだ改善の余地が残っています。人間の頭の中で当たり前のように行われている(出来ないと言葉が読めない/話せない)のが抽象/具体の技術なのですが、人によりレベルというか得手不得手があるのも事実です。改善の余地というのは、これを簡潔に説明できるほど煮詰められていないということです。

『コーチングの風景』は、まだ始まったばかりのプロジェクトです。これから多くの知恵を集めて、誰もがコーチングを習得しやすくできればいいなと思っております。

 

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英語の概念をインストールする

言語を学ぶということは、その国の文化を学ぶことだ。

以前、そのように教わったことがあります。ただ、その時は何となく、その言葉の背景を学ぶことだろうなとしか理解していませんでした。

最近、再び英語の勉強を再開して、改めて英作文なども毎日少しずつ行うようにしていますが、勉強するにつれて、先の言葉の意味が分かってきました。

 

こんばんは、コーチングスケイプの大森です。

 

言葉って、他の動物は持っておらず、人間ならではのコミュニケーション手段です。もちろん動物の中には鳴き声などで互いにコミュニケーションをとっている種もありますけど、人間の言葉のような高度なものではありません。あくまで意思疎通であり、思考を伝える手段ではありません。そもそも思考そのものが人間ならではの行為だからですね。

人間の思考の一番すごいところは抽象概念です。たとえば「犬」という言葉も抽象概念です。犬という動物の集合体をイメージした言葉で、自分の飼い犬も、隣町の○○さんちの飼い犬も、野良犬も、柴犬やセントバーナードなどの様々な大きさや形をした種類も、スヌーピーのようなキャラクターも、すべて「犬」という抽象概念に含まれています。

これって、すごい事なんですよ。人間以外の動物には無い能力です。

ただ、この能力には個人差があります。抽象化が得意な人もいれば、不得手の人もいます。何を集合化してひとつの抽象概念を作り上げるかも、人それぞれに能力差があります。

 

話を英語に戻しますと、英語の文章を読んでいると日本人にはイメージしづらい表現が出てきます。

たとえば、

 

The twentieth century saw many social changes.

20世紀に多くの社会的変化が起こった。

 

英文を直訳すると「20世紀は、多くの社会的変化を見た」で、これだと日本語としておかしいので上のような意訳になるのですが、英語の文章では確かに「20世紀は見た」という表現をしています。

20世紀は人ではないので、20世紀というものが「見る」という行為をすることは考えられません。

こういう時、「英語ではこう表現するので、日本語に訳すときは」云々と言われるのですが、表現とか言い方の問題ではなく、英語を母国語としている人たちは確かに「20世紀」という抽象概念があって(ここまでは日本人も同じです)、その概念上の20世紀は「見る」という行為をしているのです。

20世紀に限らず、英語では無生物がいろいろな行為をしています。少なくとも彼らの頭の中では。(無生物主語+述語動詞)

こういう日本人の頭の中にはない概念を自分の頭の中にインストールできないと、ネイティブスピーカーが感じる自然な英語には近づけないのだということですね。日本人が英語が苦手なのも、この言語の文法上の構造に違いだけでなく、この概念が大きな障害になっているはずです。

 

その国の言語を学ぶことで、その国の人の考え方を学ぶことになる。冒頭の言葉はそういう事を意味しているのだと、ようやく理解できました。最初は困難に感じることになるけれど、こういう概念を身に着けることで他国の言語学習の上達を早めるのではないかと思いました。

 

【追記 2016.04.12】
上記の内容に私の思い込みが含まれているため、4月12日付「外国語を学ぶことは簡単ではない」で修正記事を書いています。

 

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意見を集約するときの注意点

今日も寒いですね。寒いのが苦手な私には辛い日です。でも徐々に陽が伸びているので、一歩一歩春に近づいていることを感じることもできて、しばらくの我慢と絶えることにします。

気分を変えるために、ブログのデザインも変えてみました。いかがでしょう?

 

こんばんは、コーチングスケイプの大森です。

 

様々な会社でファシリテーションを行ったり、ミーティングの進め方を見学する機会があります。割とよく見かける光景なのですが、ポストイットに各自の意見を書いて、それをホワイトボードに張り付けながらまとめていくというやり方をしている会社が結構あります。集約法とかKJ法と呼ばれている方法です。

いくつか誤った運用をしているところがあるので、今日はそれについて書いてみます。特にポストイットをまとめる作業の注意点です。

 

1.いきなり抽象度の高い言葉でグルーピングをしないこと

よく使う例ですが「野球、ラグビー、テニス、バスケ」をまとめるときに「スポーツ」で括るとそこで思考の広がりがなくなってしまいます。

スポーツ

野球、ラグビー、テニス、バスケ

ですね。でも、「球技」で括ればその上位が「スポーツ」となりますね。つまり、

スポーツ

球技

野球、ラグビー、テニス、バスケ

というつながりです。

べん図を描くとわかるのですが、こうするとスポーツの下に「球技」以外に球を使わない競技がうっすらと見えてきませんか?

最小単位で括るような言葉を選んでいかないと、新たな視点が見つからないのです。

よくある抽象度の高い言葉は「コミュニケーション」「営業力」「人材育成」「人間力」「マインド」などです。

こんな言葉を会議で使っていませんか?

 

2.大きな項目を先に出し、そこから細分化しないこと

1の話にもつながるのですが、抽象度の高いグルーピングをしてから細分化していくというやり方をすると「何か」を見失います。

大グループを作ってから細分化するのと、細部をつなぎ合わせて中グループ、大グループを作っていくやり方は一見同じように見えるよね。でも違うんです。

前者の方法で行うと、大体のポストイットは分類できるのですが、いくつかの例外的な意見ははみ出してしまいます。そして、何となく除外したまま「その他」という項目を作ってそこに放り込んだりするのです。最悪の場合はグルーピングもされず、ホワイトボードの隅っこにぽつんと追いやられたり、握りつぶされたり・・・。

俯瞰してみると大きなグループにはたくさんのポストイットが貼られ、その他には数枚だけ。何となくみんなが共通している意見が重要に見えてきて、少数意見を排除しがちになります。

自分たちでも気が付かないような本質的な問題を探すときには危険なので、面倒な作業になるけれど必ず一つ一つの意見を紡ぎ合わせていくことが大切なのです。

細かいことを言えばキリがないのですが、あとひとつだけ。

 

3.言葉の違いに敏感になりましょう!

ホワイトボードに各自の意見(ポストイット)を貼る際に、誰かが自分の意見を読み上げてボード上に貼ると、他の方が「私も同じ意見です」とか「大体同じような意見です」といって同じ場所に貼っていく。これもよく見る光景です。

でも、本当に同じ意見なのでしょうかね?

たとえば、「他人に興味がない」と「自分さえ良ければいい」という2つの意見が出たとします。人によっては同じような意味に感じますが、実は違ったりするのです。似て非なるものである可能性も高い言葉も多いのですから、グルーピングする前に発案意図をきちんと聞き分ける必要がありそうです。些細な違いを知ることで、問題の本質にたどり着くこともあるのですから。

 

皆さんの会議はどのように進めていますか?

 

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